「オリベの定番のこと」part – 2
定番が 定番になるまでのこと
「定番だけのブランドにしちゃうんですよ」
何かを決意したゆえなのか、あるいはもともとの性質なのか(あとで両方だということがわかった)スタジオオリベの企画を担当する塩谷氏は、よどみなくハッキリ、スッキリした口調でそう言う。「はじめの頃からやってる5型だけを残してやっていこうかと」。
スタジオオリベは、学生時代の友人である塩谷氏と鈴木氏が発足したディリーウエアブランド。バイクや自転車乗りのツボを心得た、スタイリッシュかつ機能的なデザインで10年間、着実にファンを増やしてきた。
めーかー、特にファッションはなりたち上、シーズンごとに商品を発表し続けなければならない。もちろん彼らもしかりで、作る時は先のことなんて考えず、ただ瞬間的にいいと思ったものを作っていたら、だんだんと中に継続的に出すラインができてきた。が、それらを定番と決めていたわけではなかった。塩谷氏は言う。
「今シーズンはコレでしょう!」みたいに自分たちも新しくて目立つ商品をつぎつぎと出して。お店もそういうものに、目が行きがちなんだけど、長〜い目で見ると棚にいつも積んでもらって、気付くと知らないうちになくなったりしてるものも、実は同時にあったりして。
「アレまたやるよね」みたいな声に応えて次も出そう、またその次も出そうってなっていくうちに、
「じゃあもう、ずっと続けていこうか」って。これって、なんか一番リアルで正直な流れですよね。
ただ、どんなに長く愛されてる「いいもの」でも、作り手が作ることをやめてしまうと買い手は買えず、「定番品」にはなり得ない。時代を越えた確かなもの、その価値を肯定すること。
「今は新しいものを生み出していく努力よりも、作ったものをさんざん着て、履いてもらえるように、伝えていく努力のほうが、大切なのかもしれないって」